オーストリア写真紀行

グラーツ行

オーストリアの南部シュタイアーマルク州の州都がグラーツである。州の南はスロベニアに面している。グラーツに行くにはウィーンからECかIC(Inter City 都市間特急)で2時間半くらいの距離であった。あったというのはこの路線も2012年にRJが導入され、現在はきっかり1時間おきにウィーン・マイドリング駅を出発しグラーツ駅まで2時間30分で結んでいる。昔ながらの鉄道の旅をしたい人はスロベニアの首都リュブリャーナまで行くEC「Emona」などを利用するしかない。便利になるのはよいのだが、ヨーロッパの昔ながらの鉄道の旅が好きな私は少し複雑な気分である。

EC「Emona」(写真はリュブリャーナ駅にて)

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ドアの窓に貼られた行き先表示

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グラーツへ向かうこの路線は世界遺産であるセメリンク鉄道のセメリング峠を越えていく。列車の中からは見にくいが石造りのきれいな橋をいくつも通っていくので注意深く外をみたいものだ。(セメリンク鉄道の詳細については稿を改めて紹介したい)

グラーツの駅についたら駅横を走っているトラムでハウプト広場(Haupt-platz)まで移動しよう。予め市内の24時間乗車券(24-Stundenkarte)を買っておくと良い。グラーツの見所はムーア川を渡った市街にある。私が訪ねた2011年秋には丁度トラムのこの路線は工事をしていてバスが代行運転をしていた。ヨーロッパの各都市ではよく工事をしていて交通機関も運休したり、代行運転があったりする。観光ガイドブックだけを頼りにしていく個人旅行だとどうしたらよいのかわからなくなってしまうこともあるが、冷静に周りを見て案内の張り紙があればそれを読むようにしたい。ウィーンと違い地方都市に行くと英語を流ちょうに話す人も少なくなるので自分の判断力が頼りになる。

ハウプト広場はそれほど大きな広場でないがここが観光の出発点になる。

ハウプト広場(銅像はヨハン大公)

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ハウプト広場に面して市庁舎(Rathaus)が建っていて、その奥には州庁舎(Landhaus)がある。州庁舎の方が古い建物でルネッサンス様式だ。これらの建物が面している通りがヘレン通り(Herrengasse)で通りの両側にいろいろなお店が並んでいる。

市庁舎

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州庁舎

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ヘレン通りの散策が終わったらシュロスベルク(Schlossberg)へ登って時計塔をみよう。ハウプト広場から少し北に行き右にちょっと入ったところにエレベーターの入り口がある。このエレベータには24時間乗車券は使えないので窓口でチケットを購入する。上にあがるとすぐ目の前に時計塔が見える。

時計塔(Uhrturm)

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時計塔の内部

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時計塔の由来などは観光案内書に詳しいが、長針が時間を指し、短針が分を示しているのは、分を表す短針はあとから付け足されたためとのことである。料金を払えば時計塔の内部も見学できる。分が変わる動作など興味深い。

シュロスベルクから市街を望む

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シュロスベルク からの下りは歩いてもたいしたことはない。地図を見ながら王宮の横を通り、劇場のとなりに二重のらせん階段がある建物がある。これは古いグラーツの王宮の一部だそうだ。珍しいので登ってみるとよい。

二重のらせん階段

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グラーツの市街はそれほど大きくはないので二重のらせん階段の建物から坂を下ってくると再びハウプト広場に出る。お土産物など買い終わったらトラムに乗ってグラーツ駅へと向かい帰路につこう。

グラーツの探訪は1日見ておけば十分だろう。ウィーンとの違いをぜひ体験してほしい。街の建物の色など明るくイタリア的な雰囲気を感じるかもしれない。また街の人々もウィーンは世界各国の雑多な人種が入り交じっているが、グラーツの街は白人が多いと感じるだろう。

ウィーンに滞在していても鉄道を利用すれば結構日帰りであちこちの地方都市を訪れることができる。重いスーツケースを持って毎日泊まるホテルが変わるのも大変である。ウィーンを拠点にして地方都市を訪れる計画などぜひ実行してみて欲しい。すてきなオーストリアの国内旅行を体験できるだろう。

 

列車に自転車を乗せる乗客(オーストリアでは普通の光景)

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EC(機関車はÖBB である)

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<文・写真:古川 隆>

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