オーストリア写真紀行

アイゼンシュタット&ルスト(ノイジートラー湖)

オーストリアで一番東のブルゲンラント州の州都でハイドンゆかりのアイゼンシュタットと2001年に世界遺産に登録されたノイジートラー湖を訪ねてみよう。筆者が訪れた時、まだ中央駅は部分開業もしていなかったので仮に設置されたウィーン東駅からREX(快速列車)を利用した。現在は中央駅が部分開業し、そこから発着しているはずなので訪れる際は現地でよく確認して欲しい。

ウィーン東駅に停車中のREX

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REXは新しい車両で清潔だが、海外からの旅行者が利用することは想定していないので車内アナウンスなどすべてドイツ語である。車掌もほとんど検札に回ってこないので、何かトラブルがあったときなどは自己責任で対応するしかない。事実筆者が乗ったREXも途中保線工事のため一部区間がバス振り替え輸送になり、アイゼンシュタットへの到着がかなり遅れた。

REXの車内

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 ÖBBのアイゼンシュタット駅から市庁舎やエスターハーズィー城のある町の中心部までは結構離れている。1kmくらいは歩くことになるのだろうか。道なりにずっと歩いていくとやがて市庁舎近くにあるペスト塔がある広場に着く。

市庁舎前のペスト塔

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ペスト塔のある市庁舎前の広場からはこの町の見所はすぐ近くである。一つ隣のヨーゼフ・ハイドン通り(Josef-Haydn-Gasse)にはハイドンを記念したハイドンハウスがある。 

ハイドンハウス(Haydn-haus)

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よく知られたことだがハイドンはこの地を治めていたエスターハーズィー侯の宮廷楽団の楽長をしていた。記念館はその時のハイドンの住居である。ハイドンハウスの内部の展示はすっきりとまとまっていて、受付係の人も丁寧に説明してくれるので、音楽に興味がある人はじっくりと見学することをお勧めする。

エスターハーズィー城                                             

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エスターハーズィー城はお城のイメージとはちょっと違っていて、豪華な貴族の館といった感じである。内部にも見所たくさんあるのだが、ハイドンザール(Haydn-Saal)と呼ばれる大広間などは事前予約が必要で当日いってもすぐに見られないのがちょっと残念である。

ルストのラートハウス広場

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アイゼンシュタットまで来たのであれば、足を伸ばしてルストに行ってみたい。市庁舎から一つ隣の通りにあるドーム広場からポストバスが出ている。ここが始発で1時間に1本くらいの割合でルストの郵便局裏を通るバスがある。ルストが終点ではないのでよく調べてから乗る必要があるのと他の記事でも書いたがこのポストバスとういうのはなかなか手強い(運転手がとても不親切)存在であるので、よほど旅慣れた人でない限りあまりお勧めできない。といって他に交通手段はないので、タクシーなどと交渉してルストとの往復を貸し切りで使うなどの方がよいような気がする。ポストバスでまたアイゼンシュットに戻るのであれば、降りた郵便局裏の同じバス停から乗ることができる。

煙突の上のコウノトリの巣 

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ルストの町の煙突の上をよく見てみるとコウノトリの巣がたくさんあるのがわかる。下から見てもいいのだが、時間があればカトリック教会の横から教会の塔に登ることができるので塔の上から眺めてみてもいいだろう。遠くのノイジートラー湖も望めるので穴場である。普通の教会の普通の塔で、入り口にこれまた普通のおばさんが座っていて料金を徴収している。

カトリック教会の塔から町と遠くノイジートラー湖を望む 

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 このルストの町へ来て気づくのは町並みの色がオーストリアぽくないことである。それも当然で、アイゼンシュタットも含めてこのあたりは第一次世界大戦まではハンガリー領であり、町並みもハンガリーの雰囲気が色濃く残っている。現在でもノイジートラー湖の南側はハンガリー領となっている。

 ノイジートラー湖

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教会の塔からはノイジートラー湖がよく見える。この湖はヨーロッパで珍しいステップ湖ということである。水深が浅く湿地帯のような湖で野鳥の宝庫になっている。その美しさが世界遺産登録の理由とのことである。

コウノトリ保護区域のコウノトリ 

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教会の塔から見ていて湖まで歩けそうなので歩いてみたところ割と湖岸までは近かった。すぐ近くにコウノトリ保護区域があり、コウノトリが数羽いるのを見ることができた。何事も挑戦してみると新たな発見があるものである。

筆者が訪れた日は、途中から雲行きが怪しくなりかなり強い雨が降り出して気温も急に下がった。ヨーロッパの天気はいきなり変わるので注意が必要である。多くの日本人はこの地をバスツアーで訪れることだろう。ガイド付きバスツアーにはいつも辛口の筆者だが、旅慣れていない人にとってここだけはツアーに参加する方がよいと思う。もちろん自信のある人は乗り継ぎながら訪れてみて欲しい。ウィーンからちょっと行くだけでハンガリーの雰囲気を味わうことができるだろう。

 

<文・写真:古川隆>

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